キャリア形成における結論
キャリアというものが如何にして形成されるのかを考えたときに自身の経験を元にするとこれしかないという内容。要約すると
- 実務経験によってしかスキルは身につかない
- 経験する実務の内容は運によって決まる
- 身につけたスキルを応用できるかどうかは所詮才能である
というもの。
筆者の職業は所謂ソフトウェアエンジニアであるが、一般論として読んでいただいてもまぁ差し支えないのではなかろうか。どこの業界にもたまにいる所謂「天才」的な人ではなく、普通になんとなくサラリーマンをしている人には大体当てはまるだろうと思って書いていきます。基本的にはそういう人を念頭に置いたお話。
あくまでサラリーマンの話ね、サラリーマン。
スキルセットとは何か
カタカナ語でわざわざ言うからよくわからなくなるのかもしれないが、実務経験の内容を具体的に列挙したものだと私は捉えている。デザイナーやらエンジニアやらといった職種だとポートフォリオといううヤツに書かれる内容かもしれない。
ポートフォリオとか言い出す同業のエンジニアははっきり言って嫌いなんですが。
それはさておきここで重要なのはスキル・経験として他者に語って良いものとは、ビジネスとしてお金を稼ぐスキームの中で経験したこと、成し遂げた実績のみであるということ。勿論例外はあると思うが個人的に何かを勉強しています、何かを作ってみています、みたいなものはスキル・経験を積み上げることにはならないと私は考えている。
サラリーマンは組織で仕事をするのが一般的であって、スキルというものは組織の中で生かされるべきものであると考えて差し支えないと思う。ところが人間は給料をもらっているという義務感でも無ければチームでミッションをこなすなどということは行わないし、目標達成へ向けた取り組みや作り出そうしているプロダクトに対してレビューし合ったり改善サイクルを回したりしない。加えて組織として意思決定を行う、あるいは決定内容に従って業務を遂行するのは組織の中で仕事をしていないと経験し得ない。組織の中で果たした役割、挙げた成果こそが実務経験であって、それを列挙したものがスキルセットになると思う。
一人で仕事するサラリーマンはいないということで組織での経験こそが重要であると。
スキルレベルとは何か
- ビジネスとしてお金を稼ぐスキームの中での経験
- 組織の中で果たした役割・挙げた成果
であるスキルセットを横軸として、その経験をどれだけ自分のものとして消化しているか。自分の経験を他の現場、他の仕事、他の会社でどの程度活かすことができるようになっているかということ。
俗に言う再現性というやつを獲得しているかというお話。
同じ仕事をしていてもその条件は千差万別であって、
- 世の中の情勢
- 国や地域の文化の違い
- 企業や部署の文化
- 上司・部下・同僚の性格
- 業績傾向や予算配分
- 抱えている課題
などなど様々なパラメータがあるもので。
あの仕事をあのときあのやり方で上手く行った、あるいは失敗したという事実に対して時期や組織特有の背景を加味して分析ができていて、似たような仕事に別な環境で取り組む際に「その時のシチュエーション」を踏まえてやり方を組み立てられる。
その精度の多寡がスキルレベル。
スキルセットはなぜ運によって決まるのか
仕事内容がガチャで決まるから。
会社なんてものは入ってみなきゃ中身はわからんもので、
- 入る会社にどんな仕事があるかもガチャ
- 配属もガチャ
- 上司・部下もガチャ
- アサインもガチャ
なわけなんですよ結局のところ。程度の違いは勿論あるけれどね。
実務の内容が重要であるのだが、配られるカードはランダムで、配られたカードでまずは勝負するしかないという現実。
運である。
スキルレベルはなぜ才能によって決まるのか
日本の学校教育で英語を勉強しただけで読めて書けて話せるようになる人ってほとんどいないと思うのだけれど、基本的にはそれと同じで。他の部署・他の仕事・他の会社のことを軽く見聞きしただけでこれまでの経験との状況差分を認識して適切な動きなんてできないでしょ。
それができる人は才能がある。
簡単なお話である。
ただ時間をかけて馴染んでも良いしかもしれないし、才能がちょびっとだけでもなんとかなったりすることもあるけどさ。
キャリアをコントロールする必要などない
キャリアパス考えていかなあかんで~みたいなことを言われたり言われなかったりする昨今だけれども。ごく一部の変態を除いてサラリーマンは仕方なく働いているのであって、別にやりたい仕事なんてないんだから知らんよなそんなの。
私が仕事に対して最も重要視してきたのは居心地と待遇のバランスなのだが、この居心地の悪さを我慢するほどもろてへんなぁ~とかしんどくてももうちょっと欲しいな~みたいなことがあれば異動を希望するなり転職を考えればよいわけで。
異動希望やら転職なんてのは前述のスキルセット×スキルレベルと待遇のマッチングなので、自分のことをちゃんと理解して語れればマッチングするよ今どき。
居心地ガチャはしらんけどね。